フィリピンオンラインカジノ業界、中国人バブルで急成長

フィリピンオンラインカジノ業界、中国人バブルで急成長

フィリピンのオンラインカジノ業界が、中国人需要で急成長をしているとネットで話題になっているので調べてみました。

比オンラインカジノ業界、中国人需要で急成長

フィリピンのオンラインカジノ業界は中国人需要で急成長しています。

中国とタイの合弁カジノ会社

オンラインカジノで働く女性のケース

レンゼル・デラクルスさんは昨年、外から見える部分に入れ墨がなく、動画プレゼンターとしてのシフト勤務を希望する「写真写りの良い」フィリピン人女性の募集に応じました。

デラクルスさんは、22歳のフィリピン人で、1歳の子どもがいます。

同僚に髪形と化粧を整えてもらい、会社から支給された襟ぐりの深いドレスに着替えてから、オンラインカジノで8時間のシフト勤務します。

「プレーヤーの皆さん、ようこそ。私はビーナスです」とほほ笑み、カメラに手を振る。そして「私が次のディーラーを務めます」と宣言し、中国にいる参加者たちを相手にバカラを始めて行きます。

ビーナスという名でディーラーの仕事をするデラクルスさんは、月給の2万ペソ(約4万円)に加え、成果や出勤回数に応じた報酬やボーナスで最大1万ペソ(約2万円)の支払いが追加される現在の仕事に満足しています。

と言うもの…

フィリピンでは、看護師でも月収12000ペソ(約24,000円)なのでオンラインカジノで働くことは高収入になります。

デラクルスさんは、マニラ郊外の高級オフィス街マカティにある中国とタイの合弁カジノ会社で働いています。

代理賭博会社がマニラ進出

フィリピンで2016年に親中的なドゥテルテ大統領が就任すると、中国人向けに代理賭博(プロキシー・ベッティング)を提供する企業がオフショア拠点を求めてマニラ首都圏に相次いで進出しました。

なぜなら、中国本土では賭博が禁じられているかです。

代理賭博(プロキシー・ベッティング)とは?

プロキシーベッティングとは、実際のプレイヤーはカジノ場外におり、プレイヤーの委託を受けた事業者(個人)がカジノ場内テーブルにて電話の指示を受けてプレイする行為です。

このようなプロキシーベッティングやオンラインギャンブルを通じて中国本土から約14.5兆円にも及ぶ資金が流出してるとの一部報道もあります。

オンラインカジノの台頭

オンラインカジノはフィリピンでとりわけ急成長を遂げる経済分野の一つで、250億ドル(約2兆7000億円)規模のプロキシー・ベッティングをしのぐ勢いです。

ドゥテルテ大統領のお墨付き

ドゥテルテ政権は2016年にオンラインカジノ業者の認可をフィリピン娯楽賭博公社(PAGCOR)に一任しました。

そして、このPAGCORがフィリピンのオンラインカジノの許認可を統括したことによりオンラインカジノ業界は一気に加速し発展しました。

PAGCORによると現在、中国資本を中心とした56社が認可されています。

オンラインカジノ企業「POGO」

POGOのフィリピンにある事務所

フィリピンでオンラインカジノ事業を展開する企業は「POGO」と呼ばれています。

オンラインカジノ業界は、10万人以上の働く中国人に加えて、デラクルスさんのようなフィリピン人も多数雇用しているのでフィリピン経済にとっては向かい風となってます。

ところが…

最近、フィリピン国内では、海外からの企業と労働者の流入は、租税回避や組織犯罪に対する懸念などにより、貴重な雇用が奪われるとの不安の声も上がっています。

中比文化経済摩擦が起きている!?

そんな状況の中で、フィリピン政府は7月、オンラインカジノ業界の租税回避取り締まりを目的とした新たな部署を立ち上げたと発表しました。

「POGO現象でフィリピン経済に収入と仕事がもたらされている」としつつ、「だが同時に、売春、フィリピン人と中国人の対立、法執行上の問題など、意図せざる代償も伴っている」と述べています。

フィリピン中華研究学会のロメル・バンラオイ会長

日本の国税庁に相当するフィリピンの内国歳入庁(BIR)内に置かれた部署の責任者であるアーネル・グバラ副委員長は、 オンラインカジノ業界全体としてはフィリピン経済に好影響を及ぼしていると好意的な見方を示した上で、推計によると、オンラインカジノ業界で働く中国人は10万人を超え、毎月の所得税収ではおよそ20億ペソ(約41億円)に相当すると懸念を述べています。

「まず外国人労働者に狙いを定め、正しく税金を払ってもらいたい」と説明しています。

アーネル・グバラ副委員長

今後、内国歳入庁としては、抜き打ち検査を実施し、フィリピン国内で働いている以上果たすべき納税義務がある旨オンラインカジノの運営企業に書面で通知すると述べています。

オフショアとビザなし就労

フィリピンは、オンラインカジノ会社の多くにとってオフショア登録地にすぎないため、事業から生じる利益への課税は困難を極める可能性があるとの専門家からの指摘もあります。

更に、フィリピンのオンラインカジノで働く中国人の中では、観光ビザでフィリピンに入国して、そのまま働く就労資格を持たない中国人も少なくないようです。

中国人旅行者18%増加

フィリピンへの入国を待つ中国人の列

このように税金や就労ビザなど色々な問題があるフィリピンと中国ですが、2018年度に、フィリピンを訪れる中国人旅行者の数が18%も増加し、130万人に達し中国人を対象にした観光業は右肩上がりに伸びているのも事実です。

3年で10万人の中国人労働者

わずか3年ほどの期間に大量の中国人労働者がマニラのオフィスやコンドミニアムに押し寄せたことから、文化の違いによる摩擦も起きているようです。

騒音、喫煙、ごみ処理、過密住宅について、インターネット上に苦情が寄せられるようになっています。

中国政府オンラインカジノ摘発か!?

このところの中国経済の成長鈍化を受けて、中国政府も資本流出を警戒しており、オンラインカジノの摘発に乗り出す可能性があるとフィリピンの国営メディアが報じています。

そうなれば、オンラインカジノを中核とする、雇用、観光業、不動産などのフィリピンが受けてきた経済的な恩恵が減少するのではという声も聞こえているようです。

オンラインカジノで不動産バブル?!

カナダの不動産サービス会社コリアーズ・インターナショナル

フィリピンは何世紀にもわたって中国からの移民を歓迎して来たという背景がありますが、オンラインカジノ運営企業「POGO」に対する見方はさまざまです。

特に不動産の価格は、オンラインカジノ業界が大規模なオフィススペースやコンドミニアムなどを大量に購入することにより不動産価格をつり上げていると指摘されています。

米金融大手モルガン・スタンレーは最近、マニラ首都圏で使用されるオフィススペースの比較で、オンラインカジノ産業がトップに躍り出る見通しを示しています。

また、カナダの不動産サービス会社コリアーズ・インターナショナルのフィリピン担当マネジングディレクターを務めるリチャード・ライムンド氏は「(オンラインカジノ各社が)広大なスペースを借りている」と述べています。

今ではマニラの商業不動産契約の30%近くをPOGOが占めると明らかにしています。

リチャード・ライムンド氏

有識者の声は?

  • アテネオ大学公共政策大学院のロナルド・メンドゾ大学院長は「フィリピンが経済発展の望みをつなぐには、安定的で、雇用を生み出し、技術を高める外国投資が必要だ」とし、「POGOはこれらの点をほとんど満たさない」と話しています。
  • 米ジョンズ・ホプキンス大学でオンラインカジノ業界を専門とする研究員のアルビン・カンバ氏によると、中国大使館は中国人旅行者に対してPOGOで働かないよう警告し、フィリピンにもPOGOへの投資の抑制を呼び掛けています。

「オンラインカジノに投資する企業の性質、こうした企業の多国籍性、事業展開の巧妙さに目を向けてみると、どの国の枠にもとらわれない大変強力な企業の集まりだ」

ジョンズ・ホプキンス大学研究員アルビン・カンバ氏

まとめ

フィリピンのカジノは、最初に代理賭博からスタートしました。

その後、今からたった3年前の2016年には、ルゥテルテ大統領がオンラインカジノ業者の認可をフィリピン娯楽賭博公社(PAGCOR)に一任しました。

そして、このPAGCORが許認可を一括管理することにより、オンラインカジノ業界は一気に伸び、これまでに中国資本を中心として56社にオンラインカジノ運営会社として許可を与えています。

このオンラインカジノ運営会社を「POGO」と呼び、このPOGOを中核として、10万人規模の中国人労働者をフィリピンで働かせ、フィリピン国内の雇用も創出し、中国からの旅行者を18%UPさせました。

その一方で中比文化経済摩擦を起こしています。

具体的には、中国人労働者の税金未払い問題や、POGOに対する課税問題、それに業者による不動産買い占めによる不動産バブル問題などです。

また、経済低迷している中国でも中国国内からフィリピンへの資金流出に対して摘発する動きもあると一部で報道もあります。

とは言え…

色々と問題はありますが、たった3年間でオンラインカジノ業界が2兆7千億円規模のビジネスに発展したとはすさまじい数字です。

飛行機で約4時間で行ける近くて遠い国のフィリピンですが、オンラインカジノ業界の動向から目か離せないですね。