マカオカジノが成長した理由 2019売上分析 今後のトレンド
マカオ政府博彩監察協調局は2020年1月16日、2019第4四半期(2019年10〜12月)及び通期の各種ギャンブル統計を公表しました。
この統計をもとにマカオカジノが成長した理由と2019売上分析及び今後のトレンドを予測してみたいと思います。
マカオカジノが成長した理由 2019売上分析 今後のトレンド
マカオカジノが成長した理由とは?

マカオのカジノの売上げが今まで伸びたて来た理由は、マカオの歴史をみるとよく分ります。
ポルトガルの植民地時代の1847年にカジノは合法化して170年以上の歴史があります。
19世紀の1850年代とは、日本ではペリー来航した頃なのでマカオカジノの歴史が古いことが分かります。
この頃から、マカオ政府の税収の大半はカジノの収益に支えられていました。
この時代からマカオは東洋のモンテカルロと呼ばれるようになったようです。
中国返還前のカジノ産業は、“カジノ王”のスタンレー・ホーさんの1社が独占支配をしていましたが、その後マカオ政府はカジノ事業の独占制度を見直し2001年公開入札を行い40社近い入札の中か現在も運営をしている6社にカジノ経営権を与えました。
若き日のスタンレー・ホーさんは男前ですね~^

この公開入札から経営権を与えることをコンセッションと言います。
豪華絢爛な大型IR(統合型リゾート)を中心としたカジノ施設ばかりが目立つが、実はマカオには競馬、サッカー及びバスケットボールを対象としたスポーツくじ、ロトといった各種合法ギャンブルも存在し、政府とコンセッション(経営権契約)を結ぶ民間事業者によって運営されている。
引用元:マカオ新聞
最近ですが、このコンセッションの期限が近づいているのでマカオ政府とカジノ業者との静かな攻防が水面下で続いているようです。
500.comという会社をたどると中国とマカオ、そして日本に対する考え方などが見えて来るので興味のある方は↓おすすめ記事です。
おすすめ記事:中国最大のオンラインカジノ業者500.comどんな会社?
- 1847年:カジノが合法化 ポルトガルの植民地時代
- 1962年:独占支配 マカオのカジノ王スタンレー・ホー
- 1999年:中国返還 ポルトガルの植民地時代の終焉
- 2001年:公開入札 カジノ経営権が6社に決定
1847年にポルトガルの植民地時代にカジノが合法化されました。
そのスタンレーホーさんの独占支配が続きましたが、1999年にポルトガルから中国に返還されました。
中国政府がマカオの返還後もマカオの自治権を認めたことと、もう一つが2001年にマカオカジノの経営権を公開入札にしたことによってマカオカジノが伸びた2つの理由だと思います。
この二つの転機の後に売上げがグンと伸びてます。
2019年マカオギャンブル売上げ分析

昨年通期の総ギャンブル売上は前年同時期から3.5%減の2933.12億マカオパタカ(約4兆0283億円)、このうちカジノによる売上は3.4%減の2924.55億マカオパタカ(約4兆0160億円)で、実に全体の99.7%を占めています。
カジノの売上げの内訳は?
ランドカジノの売上げを伸ばすには富裕層を取り込まないととダメというのが常識になっていましたが…。
カジノ売上の内訳を見てみるとVIPルームの売上げは大幅に下がっています。
富裕層の売上の大半の数字を反映するVIPバカラ売上が18.6%減の1352.28億マカオパタカ(約1兆8571億円)と20%近い減収になっています。
富裕層から庶民のカジノへ
カジノ売上全体に占めるVIPルームの割合は8.6ポイントの大幅下落となる46.2%となり、第1四半期から4四半期連続で過半数を割り込んだ。
一方、マスゲーミング(いわゆる平場)のバカラ売上は17.9%増の1207.73億マカオパタカ(約1兆6586億円)。
マスのバカラ売上は2015年から5年連続伸びていることからも、富裕層から庶民へカジノで遊ぶ層が変わって来ています。
マカオカジノの売上は全体の87.5%はバカラが占めています。
カジノ以外の売上げは?
カジノ以外の各種ギャンブルの売上については、中国式ロト以外は軒並み減収です。
減収の中でもサッカーくじの20.8%減とはどうしたんでしょうか…。
- 競馬:3.0%減の0.98億マカオパタカ(約13.5億円)
- 中国式ロト:7.7%増の0.14億マカオパタカ(約1.9億円)
- サッカーくじ:20.8%減の5.34億マカオパタカ(約73.3億円)
- バスケットボールくじ:5.0%減の2.11億パタカ(約29.0億円)
など。
※ドッグレースはコンセッション満了により2018年6月末でレース開催を終了したため売り上げは立っていません。
マカオカジノの今後のトレントとは?

マカオの観光客数は、2000年の800万人から2012年には2800万人に増えました。
そのうち80%が中国本土と香港から来た人たちです。
2013年になるとカジノ収入は約4兆7500億円とラスベガスの5倍以上となり世界最大のカジノシティーとなりました。
一方でラスベガスは1998年を分岐点として、カジノ以外の売上がカジノ収入を上回るようになって行きます。
つまり、カジノ中心から総合型リゾートへ転換しました。
その点、マカオの収入は圧倒的にカジノによる収益が今も占めています。
この収益構造の転換を図ろうマカオ政府も考えているようです。
その対処方法として、エンタテイメントなどカジノ以外の遊びを増やして、中国本土や香港からの日帰り客をホテルに泊まってもらうに戦略を練っているようです。
さらにコタイ地区を中心に、マカオをアジアの一大エンターテイメントの拠点にする計画もあるようです。
まとめ
中国は一国二制度で今、香港と台湾で揉めていますが、マカオが成長し理由は、中国本土がマカオの自治権を認め、更にカジノの経営権を公開入札にすることで海外の企業が安心して投資出来る環境を作ったことにあるようです。
2019年のマカオジノの売上分析では、今までマカオを訪れていた富裕層が20%近く減り逆に平場で遊ぶ一般のプレイヤーが増えました。
富裕層が減った理由は、フィリピンやシンガポール、そして韓国などに富裕層のプレイヤーが分散したことが理由に挙げられます。
マカオカジノの今後のトレントとしては、ラスベガスをお手本としてカジノだけの収益に頼らないでアジアの一大エンターテイメントのメッカにしたと考えていると思います。
特に今後、経営権の更新を控えて新しい条件をマカオ政府が更新条件に追加して来る感じですね。